日本小児科学会は、5~17 歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します
2022年8月10日日本小児科学会より新たな声明が発表されました。小児に対する新型コロナワクチン接種について、メリット(発症予防や重症化予防等)がデメリット(副反応等)を大きく上回ると判断され、もともとの「意義はある」との表現から、「推奨する」に変更となりました。
厚労省においても、5-11歳の新型コロナワクチン接種について、予防接種法上の「努力義務」とする方針のようです。「努力義務」とは4種混合ワクチンやMRワクチンなどと同様に、「接種を受けるよう努めなければならない」という規定です。
私もこれらの方針の変更に、賛成です。
以下にその理由について、簡単に紹介します。
- 小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加している。
第7波の流行においては小児患者が多くなっており、発熱外来の受診や救急搬送、入院などが困難になっています。けいれんを発症する方も多く、脳炎・脳症の報告もあります。また、医学的には軽症の範囲でも、実際に診察室で拝見すると、かなり辛そうな方が多いです。
- 現在の小児に対するワクチン接種がオミクロン株に対しても有効である。
接種開始当初は不明なところも多かったオミクロン株への効果も、世界各国からの大規模な研究成果が蓄積され、オミクロン株を含めて重症化予防効果が 40~80%程度認められることが確認されました。ある程度(30%程度)の感染予防効果もあります。
- 副反応は成人に比べて、少ない。
お子さんへの接種となると、副反応を心配される方も多いですが、5~11歳へのワクチンは接種量の調整がなされており(成人ファイザーの3分の1)、副反応の頻度は成人より低く、例えば発熱をきたす方は10%以下です。主に成人男性で問題となる心筋炎の頻度も男児で100万回あたり2.7例と報告されており、非常に少なくなっています。
筋肉注射に不安を覚える方もいるかと思いますが、接種時の痛みの訴えも他のワクチンに比して決して強いわけではありません。
副反応はゼロにはなりませんし、長期的に100%安全ということはできませんが、ワクチンを打たずに感染して重症化したり、後遺症を残すリスクのほうが高いと考えるのが妥当だと思います。
○最後に一言
コロナウイルスは、人畜共通感染症であり、撲滅は困難です。
現状の感染力を見れば国民のほぼ全員がいつかは罹る感染症なのだと思います。
ワクチンを打たずに罹患した時の症状や後遺症のリスクをとるか、ワクチンの副反応のリスクをとるか、の判断になります。
現時点ではあらゆる世代において、ワクチンを接種するほうが、メリットが大きいと思います。
2022年8月10日現在、1回目2回目の公費のワクチン接種は2022年9月30日までの予定となっています。今後延長される可能性もありますが、速やかに接種を検討されることをお勧めいたします。
和田芳雅
※追記
公費の初回ワクチン接種は、令和5年3月31日まで延長となりました。