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新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種について

[2022.10.26]

〇今年の冬は新型コロナとインフルエンザの同時流行に注意が必要!

2022年8月に日本感染症学会から、「2022-2023年シーズンはインフルエンザ流行の可能性が大きい」という提言がなされています。

根拠の一つは今年のオーストラリアにおけるインフルエンザの流行です。日本と同じく、2020-2021年にかけては患者が極端に少なかったですが、2022年4月後半から例年を超えるレベルの患者数となりました。

入国制限の緩和に伴い、国内への持ち込みリスクも高まっています。

ここ2年間、日本国内での流行がなかったために、インフルエンザに対する集団免疫が低下していると考えられます。そのため、一旦感染がおこると、特に小児を中心に社会全体に大きな流行となるおそれがあります。

コロナワクチンとともに、インフルエンザワクチンの重要性は例年にも増して高まっていると言えます。

今回はご相談を受けることの多い、コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種について、有効性、安全性、メリット、デメリット、注意事項などについてまとめました。

 

〇同時接種は可能か?

コロナワクチンは、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能です。同時に打たない場合も特に日程に関する制限はなく、翌日や翌々日の接種もルール上は接種可能です。(後述しますが別の日に打つ場合、近い日程での接種はお勧めしません。)

以下に示すように、同時接種においても有効性、安全性に問題ないことが示されたため、同時接種が可能となりました。

インフルエンザワクチン以外のワクチン接種は、現時点では十分な知見がないため、原則2週間の間隔を空けることになっています。

ソース画像を表示

 第33回厚生科学審議会予防接種・

ワクチン分科会資料より

〇同時接種の有効性

同時接種の有効性について、詳しい内容は、第33回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料をご覧になることをお勧めします。

インフルエンザに対しても、新型コロナウイルスに対しても、単独接種と同時接種を比較すると、同様に抗体価が上昇することが報告されています。有効性について、問題はないと考えられます。

 

〇同時接種の安全性

同時接種の安全性についても、詳しい内容は、第33回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料をご覧になることをお勧めします。

報告や副反応の種類にもよりますが、同時接種であっても、副反応は単独接種と同等か、わずかに増える程度で、ほとんどが軽症でした。

少なくとも同時に接種することで、副反応が大幅に増えたり、重症化することは考えにくく、安全性についても特に問題はないと考えられます。

 

〇同時接種のメリット

接種のために仕事や学校の調整をする機会を減らせるのは、大きなメリットだと思います。院内感染対策や医療ひっ迫対策としても、受診機会が減るのは良いことだと思います。

 

〇同時接種のデメリット

接種後にアナフィラキシーが起きた場合、どちらのワクチンによるものか判断がつかないため、その後両方のワクチン接種ができなくなる可能性があります。但しアナフィラキシーの頻度はコロナワクチンで約20万人に1人程度、インフルエンザワクチンで約100万人に1人程度と極めて稀ですので、考え方にもよりますが、個人的にはあまり気にしなくてもよいと思います。

また、デメリットではありませんが、現実的に、同時接種できるところを見つけるのは少し難しいと思います。コロナワクチン集団接種会場ではコロナ単独になることが多いでしょうし、インフルエンザもインフルエンザワクチン接種専用外来として運用しているクリニックが多いと思います。

 

〇注意事項

・片腕に打つか、両腕に打つか?

通常、片腕に2本のワクチンを打つ際は、局所反応が起きたときに、どちらによるものか見極めがつくように、1インチ(約2.5㎝)程度距離を空けて接種します。

コロナワクチンは上腕三角筋部への筋注、インフルエンザワクチンは皮下注(上腕の肘よりに接種する)ですので、片腕に両方打ったとしても、自動的に1インチ以上、離れることになります。ですから片腕での接種は可能です。

但し、発赤や腫れが広範囲に出ることや腋窩のリンパ節が脹れたりすることもありますので、基本的には両腕に分けて接種(利き腕にインフル、反対側にコロナ)がよいと思います。

 

・別の日に打つときは、1週間程度は日程を空けたほうがよい。

ワクチン接種日に発熱があると、いずれのワクチンも接種することができません。発熱することの多いコロナワクチン後、数日以内にインフルエンザワクチンの予約を取るのは避けたほうが良いと思います。副反応が重ならないよう、1週間程度は間隔をあけるのが無難だと思います。

 

〇まとめ

今年の冬は、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行の可能性があり、両者のワクチン接種の重要性は高いと言えます。

コロナとインフルの同時接種は、有効性、安全性ともに特に問題なく、受診頻度を抑えるのに有効と思われます。

新型コロナワクチンが新たに打てるようになった生後6ヶ月-4歳のこどもにおいては、3週間間隔で打つ新型コロナワクチンの1回目2回目と、インフルエンザワクチンを同時に打つのもよいと思います。

 

 

 

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